シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「お、後輩かも知れない。車を有明に出すか」
そして車は――
ヘリを追いかけるように動き出した。
何だろう、あのヘリ。
何だか無性に――
腹立たしくなるのは。
ヘリだよ、ただのヘリ。
それなのに忌々しくて仕方が無い。
物に八つ当たりする程、
僕のストレスはMAXなんだろうか。
思い返せば――
羞恥の数々。
駄目だ、気分が滅入る…。
ああ、芹霞。
僕を癒してよ。
そう手をにぎにぎして訴えていると、
「ねえ…玲くん」
芹霞が口を開いた。
「ん?」
にぎにぎ、にぎにぎ。
「あのヘリさ…」
こんなに愛を込めているのに。
あんなに愛の言葉を叫んだのに。
恥ずかしいくらいの僕をさらけ出したのに。
素通りしないでよ。
にぎにぎ、にぎにぎ。
まだ僕は諦めていないからね。
絶対絶対、成功させてみせるからね?
にぎにぎ、にぎにぎ。