シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ドアは玲くんによって即座に開け放たれ、
――そして5分後。
「がはははははは!!!」
ご飯粒を飛び散らせて豪快にクマ男は笑う。
後部の空間に3人座り、クマ男がコンビニで調達してきた焼き肉弁当を手に、プチピクニック。
「そうか、まだか、まだだったか!!!
俺はてっきり、嬢ちゃんが積極的になったのだと。
だけど時間の問題だな、いやいやよかった!!」
"まだ"
"積極的"
"時間の問題"
何のことだかさっぱり。
何がよかったんだかもさっぱり。
だけど玲くんは判っているようで。
「だから三沢さんの勘違いだって。そこまでにまるで行き着いていない状況を察して欲しいよ。虚しすぎるじゃないか、僕」
拗ねたような顔をクマ男に向けていた。
「へ? 何!!? まだ俺の言葉信じてないの?」
こっくり。
俺の言葉?
「で。嬢ちゃんと2人で居て、嬢ちゃんの雰囲気が変わったと…え? 判らない? お前さんも器用そうで不器用で、聡いようでて鈍いよな~。折角、一肌脱いでやったのに」
人肌?
やっぱり正体はクマ?
クマの姿で何したの?
「三沢さん…。だからそんなに単純に行かないんだって。誰かに言われてソノ気になるようであれば、僕はこんなに捨て身になったり苦労してないよ」
「じゃあ諦めるか?」
「全然」
「即答か、がはははは!!!」
クマ男は大声で笑いながら、また焼き肉弁当をがつがつと食べた。
あたしは完全置いてきぼりだ。
ふて腐れて齧った…グレープフルーツだと思ったものはレモンで。
「すっぱ~」
撃沈。
顔を顰めたら、玲くんが慌ててペットボトルのお茶を飲ませてくれた。
「溺愛だな、お前さん…」
「放って置いてよ」
「そこまで判りやすい愛情表現なのに、その優しさが仇か」
「だから放って置いて」
「かなり靡いていると思うぞ、俺は。もう一押しで嬢ちゃんは…」
「あ~、すっぱかった。え? 何か言ってた、今?」
「ね? 肝心な処で聞いてないでしょ?」
「一筋縄には行かないな、こりゃ。ま、俺がいるから期待してろ、がはははは!!!」
「ありがと。期待は最小限にして置くから」
「ねえ、だから何の話?」
ぷうと膨れたら、玲くんが微笑んだ。
「ふふふ、これからの話」
「そうそう。……ああ、そうだ。嬢ちゃんが寝ている間、『白き稲妻』とも話してたんだが、上から東京を眺めた限りにおいて、あの黒い塔は、池袋、赤坂、台場以外にも…渋谷のNHK、新橋の日テレ、六本木のテレ朝も潰れて、出現していたんだ」
「主要テレビ局全滅!!?」
そこまでにょきにょき生えたか、あの黒い塔は!!!