シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「"主要"にAPEXを入れていいか判らないけど…虎ノ門のTX、テレ東だけは無事なんだよなあ。TXは異質だ特殊だとはよく言われるが、俺の古巣は…"主要"に入れてもいいデカさと思うんだがな」


がしがしと、クマ男は頭を掻いた。


「何でだろうね?」


玲くんは黙したまま、レタスをぱりぱり食べていて。

何だか可愛い小動物のように思えてしまった。


胸元の…睨み付けるようなティアラ姫の目線は、ばっちり玲くんの焼き肉を狙っていて、あまりに対照的な存在だったけれど。


玲くんはひたすらレタスをぱりぱりと食べ続けている。


「どうしたの、玲くん?」


そんなにおいしいレタスだったろうか。


「ん…テレ東だけ無事っていうのがさ」


玲くんは最後の一口を咀嚼して飲み込むと、ゆっくりと鳶色の瞳をあたしに向けた。


「氷皇からの手紙、あの英文字ばかりだった方、覚えてる?」


「あ、うん。ローマ字で"AHAHAHA~"の奴ね?」


少しだけ玲くんは嫌な顔をしたけれど、頷いた。


「そう。あれさ…TXだけなかっただろ」


そう言えば…。


「蒼生ちゃん、また何か意味をこめたのかなあ…?」


「……。結局、あの手紙に書かれていたものは全て黒い塔が出現している状態だ。それを伝える手紙であるのなら、TXが故意的に除かれたのは意味があるはず、なんだけれど」


「ねえ今頃、時間差で黒い塔になっているとかない?」


それに答えたのはクマ男で。


持っている弁当は既に空だった。


「ないない。今、ヘリはTXの屋上ヘリポートにこっそり置かして貰ってる。それで今まで顔馴染みの奴捕まえて色々聞いてきたんだ。

2ヶ月前の災害の被害にあって、死体が上がったということで葬式してた最中、"ただいま"と元気に帰ってきて、参列してた爺ちゃん婆ちゃんを揃って病院送りにした、曰くつき野郎の小林って言うんだが」


そりゃびっくりだ。


「まず…黒い塔について。あいつが言ったのは…」


――テレビ局が黒い塔って…今更じゃないですか?


「「は?」」


あたしと玲くんは同時に変な声を出した。


――昔から、TXだけが異質だと言われていたのは…ビルが他の局のように黒くないことも指してたの…有名じゃないですか。


「更には…」


――東京タワーだって、2つあるから別名"ブラックツインタワー"って呼ばれているんじゃないですか。三沢さん、ボケました?


ブラックツインタワーって…何?

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