シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「天使少女…。カリバニズム…。魔方陣…」
玲くんはぶつぶつと呟いていて。
「何で…"約束の地(カナン)"を彷彿させる?」
"約束の地(カナン)"…。
あたしは…思い出す。
「ねえ玲くん…」
玲くんは深く考え込んでいる。
「蒼生ちゃんからのアオの手紙の方…」
"かなんがきけん"
「"約束の地(カナン)"に行かない?」
玲くんは一瞬、びくっと体を震わせたけれど…何も答えなかった。
蒼生ちゃんから危険だとはっきり警告されているのに、しかも玲くんの知らない処で久涅が何かをしでかそうとしているのに。
玲くんは躊躇があるらしい。
今は"お試し"中だから?
だったら、"約束の地(カナン)"で"お試し"から本物に切り換えたっていいし、何もなければないで…"クラウン王子"を見に遊びに行ったっていいじゃない。
取り越し苦労で終わればそれが一番いい。
"約束の地(カナン)"には、久遠達がいる。
彼らの無事を確認出来るだけでも、行った甲斐はあるはずだ。
「玲くん、行こう? クマ…"約束の地(カナン)"に行くとしたら、どれくらいで着くの? 船みたいに何時間もかかるの?」
「"約束の地(カナン)"なら…30分かかるかかからないか、だろうな」
「ほら、玲くん。すぐ行ける距離なんだよ? 久遠達の無事確認しようよ。玲くんだって本当は気になっているでしょう?」
玲くんは、苦しげに…鳶色の瞳を向けてきた。
「何もなければいい。だけど…
徒(いたずら)に記憶は刺激したくない」
掠れきった声は、凄く辛そうで。
何が玲くんを苦しめているのか。
「何も無いなら…行きたくない」
今にも泣き出しそうな顔で、玲くんは唇を噛むと…天井を見上げた。
その沈黙に、誰も声を掛けられる状況ではなく。
妙な緊張感を漂わせる…沈黙が続いた。