シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
何でこいつは、こんなに協調性がないんだ!!!
オレも精一杯妥協してるんだから、少しは歩み寄れ!!!
「本当に、お前は年上を敬うということをしないな。そのふて腐れたような顔…まるでクラウン王子だな!!! ああ、今はティアラ姫の方か」
……落ち着け、俺。
いつでも俺達は不協和音。
心にしみ通るような美麗な音にはなりえない。
だけど。
それは歪で不調和で、ただ喧(やかま)しいだけの最悪な和音かもしれないが、しかし1つの曲を奏でるには不可欠な音。
そう思っていなければ、久遠の横には立てない。
上等。
遠慮も気遣いもなく、ただ裸の心を向けているというのなら。
俺だって――
誰がお前に諂(へつら)うか。
お前が"虚飾"を嫌い続けるのなら、何処までも今まで通り"生身"の俺で接してやる。
これからも、不協和音を奏で続けてやる。
「久遠様、こちらはOKです!!」
不意に届いた蓮の声。
ニトリクスの鏡を用いた前座は終わったとなれば、お前の言う…浄化の術とやらを拝見させてもらおうじゃないか。
「凜。長い祝詞詠唱時は、俺の守備力は落ち無防備になる。術を邪魔するモノは撃破しろ」
そんな物騒なことを言い放ち、
「蓮。そのまま鏡の力で、俺を補佐しろ!!」
そして久遠は、鎌の刃先で地面を削り…
布陣を此の地に刻み込む。
Zodiacの音楽が鳴り響くこと以外――
静かなる境地で。
久遠の表情を見れば、ある種…言霊を引き出す為のトランス状態に入っているのが判る。
纏う空気の質が変わった。
騒音の中から、神聖な静寂(しじま)を引き出しているのか。
いや、生み出しているのか。
久遠が創り出そうとしている静謐な領域に…蛆も蚕も震動を始めた。
まるで…嫌がっているかのように。
いける。
そう思った時だ。
バリバリバリ…。
久遠の集中を乱すような音が響き渡った。