シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
声が…聞こえない。
無声音となった光景に、私の心は明らかに異常を訴えかけるけれど、私はそれを振り解くことが出来なくて。
ああ、なんで…
こんなに身体が熱いんだ。
目。
熱くて熱くて堪らない。
目、目、目…。
私に向けられている、情欲に満ちている目。
いつのまにか、全裸の人間達が私を見ていて。
私の中の何かが…反応する。
煌…、早く。
翠でもいいから早く!!!
場を攪乱し、私の注意を他に向けさせてくれ。
心ではそう思えど…
炎も…式神も現われない。
私は、爪をたてて太股を引っ掻いた。
いつもの私の感覚を取り戻すんだ。
呑み込まれるな。
差し延べられる手。
触れられる手。
動けない私は…ただもがくだけで。
やけに鮮明に目に入ったのは…
――真紅。
全裸の人間達の肌に浮かぶ…血色の痣。
それは――
薔薇の形をしていた。