白緑蝶"vacances【続2】
ユラ・・・

「バカ

 ここが、苦しい」

胸を押さえる私を見て、貴方は
両端がキュッとつり上がる
完璧なまでに美しい
その唇を緩め、この私に
微笑んでみせる。

その微笑みは・・・

「ダメ、だよ」

「聞こえねえ・・・」

瞳を閉じる私は待ってる。

そう、本場、映画さながら
のラブシーン。

貴方は、私に口づける。

1、2、3

離れた唇は言う。

「腹減ったぁ
 テオ、何か食わせろ」

私の手を引っ張って貴方は
仲間の元へと歩く。

貴方の背中の向こう、街並み
に微かに覗く空。

私は見上げ、どこまでも続く
碧空を見つめる。

燦々と輝く太陽の光は、私達
の行く先を照らしてる。

その光の先を見つめて、私の
胸は、二人の未来を思い描き
ドキドキ、ワクワク、騒ぐの。

こうして、鍵谷さん一家と愉快
な仲間達の休暇-バカンス-は
幕を下ろした。
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