ショコラ~愛することが出来ない女~
今から考えればこれが間違いの始まりだった気がする。
私はそのままの彼が好きだったはずなのに、彼に一般的な父親像を押し付けたのだもの。
そこにひずみが生まれるのは当然で。
一度生まれたひずみは時と共に巨大化するばかり。
落ち着いて働く隆二くんのお陰で生活状況はかなり好転した。
詩子が中学に上がる頃には、念願のマイホームも手に入れた。
それなのに、私は安心するどころか、詩子に対して変なヤキモチばかりを感じていた。
詩子の為なら、あなたは変われるのか。
私よりも詩子の方が、あなたを変える力を持っているのか。
子供にそんな事思っても仕方ないのに、思わずにいられなかった。
私は愛情に貪欲で大人げない。
だからだろうか。
「自分で喫茶店を開きたい」
詩子が中学3年生になった頃、隆二くんが言ったそんな言葉に、私は強固に反対した。
「あなたに一つの店を切り盛りできるわけがない。どうしてもするなら離婚します」