ショコラ~愛することが出来ない女~
女二人、並んで街を歩く。
もう背もそれほど変わらない。
すっかり大人になった詩子とは、友達とでも一緒にいるような感覚だ。
「最近隆二くんはどう?」
「父さん? 元気よ。今はクリスマス用のケーキセットに励んでる。
マサが居るからたくさん作れるって言って、去年あたりからやたらに張り切っちゃって。
あ、マサってのは……」
「知ってるわ。パティシエくんでしょ。詩子の同級生の」
「そうそう。前に教えたっけ。親父に惚れこんでうちに就職したの」
「ええ」
本当は、隆二くんから聞いた。
自分の目指すスタイルのケーキ作りを受け継いでくれそうなやつが来たって、すごく嬉しそうだったっけ。
そうよ。
そのお陰で、クリスマスもバレンタインも張り切ってくれちゃって。
結果私は前よりキレやすくなったと言う訳。