ショコラ~愛することが出来ない女~


女二人、並んで街を歩く。

もう背もそれほど変わらない。
すっかり大人になった詩子とは、友達とでも一緒にいるような感覚だ。


「最近隆二くんはどう?」

「父さん? 元気よ。今はクリスマス用のケーキセットに励んでる。
マサが居るからたくさん作れるって言って、去年あたりからやたらに張り切っちゃって。
あ、マサってのは……」

「知ってるわ。パティシエくんでしょ。詩子の同級生の」

「そうそう。前に教えたっけ。親父に惚れこんでうちに就職したの」

「ええ」


本当は、隆二くんから聞いた。

自分の目指すスタイルのケーキ作りを受け継いでくれそうなやつが来たって、すごく嬉しそうだったっけ。

そうよ。
そのお陰で、クリスマスもバレンタインも張り切ってくれちゃって。

結果私は前よりキレやすくなったと言う訳。
< 65 / 292 >

この作品をシェア

pagetop