咲き舞う華は刻に散る
「美桜里さん!私にも酌をしてくれるかな?」
近藤は美桜里の姿を見兼ね、自分の方に呼んだ。
「はい、良いですよ」
美桜里は即答で近藤の酌をする事を受け、芹沢の手から逃れた。
「大丈夫ですか、美桜里さん?」
近藤の横に来ると、沖田が小声で行ってくる。
美桜里は張り付けたような満面の笑みを彼に向けた。
言葉に出さずとも、沖田には彼女が言おうとしている事が分かった。
――大丈夫な訳無いだろ?
美桜里の顔を見る限り、そんな事に言っているようにしか感じなかった。
近くに居た土方と原田も美桜里の感情を読み取ったらしく、黙って酒を呑んでいた。
しかし、土方は何か思い出したように美桜里の方を見た。