咲き舞う華は刻に散る


座敷に残った土方は頬を押さえていた。



口の中を切ったらしく、口内に血の味が広がる。



「いってぇ…。あいつ、手加減無しにひっぱたきやがった…」



「したふりだったのに痛い思いして、何がしたいんですか、土方さん?」



頬を押さえる土方に沖田は馬鹿だと言うように溜息を吐いた。



確かに馬鹿かもしれないが、これは美桜里を無理矢理芸妓の姿にさせてしまった自分への罰だった。



つまり、彼なりの美桜里への詫びなのだ。





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