咲き舞う華は刻に散る
「何が言いた――」
「この私が人間のそんなくだらない情で流されると思うか?」
美桜里の緋い瞳が梅の瞳を捕らえた。
焔のように緋いのに、宿る光は冷淡だ。
そんな美桜里の瞳を見た梅は肩をビクリと揺らす。
「人間の情なんて、私には関係ない」
そう冷たく言い放つと、美桜里は梅の横を通り、屯所の門をくぐる。
「貴女だって、人間じゃないんどすか!?」
後ろから梅の悲鳴に似た叫び声がしたが、美桜里は聞こえないふりをし、屋敷の中に入った。
さすがに床を濡らしてはいけないと思い、足袋を玄関で脱ぎ、廊下を突き進んだ。