咲き舞う華は刻に散る
すると、雲で隠れていた月が現れた。
それと同時に、美桜里の心臓が大きく脈を打つ。
「うぁ…っ」
美桜里は胸を押さえると、縁側の柱に寄り掛かり、空を見上げた。
「くっ…、今夜は満月だったのか…」
雲で隠れていた月は少しも欠けていない大きく、明る過ぎる黄金色の光を放っていた。
美桜里はふと、室内に視線を戻す。
此処に居ては沖田が目を覚ましてしまう――。
そう悟った美桜里は激しく脈打つ胸を押さえながら、庭に出た。
彼の部屋から少し離れた場所に着くと、美桜里はその場に膝をついた。
引き裂くような激痛が全身を襲い、自然と口から苦悶の声が漏れる。
満月の夜は彼女にとって、あまり好ましいモノではなかった。
「あ…ぁっ!」
もう一度大きく脈打つと、美桜里の中で何かが変わった――。