それでも君を


彼はコーヒーを私はカプチーノを頼んだ。そこからは他愛のない話をして久しぶりの再会を楽しんだ。


「ねえヤスくん。」


話を切り出そうとするとヤスくんは優しく笑って眉毛を少し上げた。

その仕草、すごく好き。
なんでもないと言いそうになったのを必死で堪えナオことを思い出した。
ナオの呼ぶユリちゃんが頭のなかで繰り返された気がした。


「もうおしまいにしよっか。」


ヤスくんは持っていたコーヒーカップをゆっくりと置いた。


「何かあったのか?」


彼が左手で頬杖をつくときは機嫌の悪いときだった。


「もうこんなのやめたほうがいいと思うの。サキ先輩にも悪いし、こんなのお互いにいいことなんてないよ。」


「俺はユリが好きだよ。だからユリと一緒にいたい。ユリは俺のこともう好きじゃないのか。」


こんな力の入った口調で話すヤスくんは初めてだった。少し怖かったけど負けまいと強い口調で私は続けた。


「じゃあサキ先輩と別れてくれるの?」


「―――それは‥」


バツの悪そうな顔をして一口コーヒーをすすった。


「ほら、ヤスくんは私を選ぶ気なんてないでしょ。だからもうおしまいにしよう。
それに私好きな人が出来たの。」


「好きな人?だれそいつ?」


「そいつとか言わないでよ。
すごく素敵な人。私その人と付き合うの。だからヤスくんとはもう会わない。これで最後にする。」


「ユリが俺以外をすきになるとはね。」


ありえないとでも言いたそうな顔をしている。なんなんだろうこの余裕。なんか腹立つな。




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