黒木健蔵の冒険
「里奈、これが、そのノートじゃ」


一部始終を話し終えると健蔵は、ノートを見せた。


『お得意様ノート』と表紙に書かれたノートをめくると、びっしりと名前が書いてあった。


「柚木華製薬の社員だけじゃないぞ、日比谷、丸の内周辺のサラリーマンの名前も載っておる」


「おじい様、このノートを一体、どうなさるおつもりなんですか?」



「査定表じゃよ。ほれ、その赤い花マル。それは、人間として、わしが合格点をつけた者じゃ」



「こんな、人を試すようなやり方、私は、好きになれません」


< 47 / 59 >

この作品をシェア

pagetop