Kissしてダーリン[短篇]
コツコツ…
ドアの前で足音が止まる。
「宮野先生?」
聞こえたのは女の人の声。
ちゅっ
軽い音を立て唇が離れた。
「ばらすなよ?」
「ば、ばらさない!」
そんなの当たり前じゃんか!
きっと敦を睨む。
「どうぞ。」
ふっと鼻で笑った後、敦は廊下の声に答えた。
ガラッ
ゆっくりとドアが開く。
「先生?」
顔を出したのはこの前転勤してきたばかりの英語の先生。
ストレートの髪を耳にかけ、短めのスカート。
「中村先生、何か用でも?」
敦はちらっと中村先生のほうを見て机に向かう。
わ、私どうしよ…
「明日のことで少し………あら、あなた」
隅にたっていた私を見つけ、先生の眼が大きく開く。