Kissしてダーリン[短篇]
「…敦?」
どうしていいか分からない。
ぎゅって抱きしめる敦の背中に手を回してもいいの?抱きしめてもいいの?
そっと手を敦の体に巻きつける。
「…んで、」
「へ?」
かすかに聞こえた声を聞き取ることができなくて、もう一度聞き返す。
「なんで、あんなとこ歩いてるわけ?」
「…はい?」
なんでって…
敦の家に行くためじゃん!
そんな当たり前のこと…
「ここに来るためでしょ?」
「じゃなくて、なんでこんな遅くに歩いてるかって聞いてんの。」
遅く…
確かに今日はいつもより少し遅いかもしれない。
友達と買い物をして気付いたらあたりは暗くなっていた。それでも、急いで抜けて早歩きで向っていた。
「…買い物してて」
「…電話しろよ。」