わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「ほのか、うるさい」

冬以がわざわざマイクを通して言う。


どうしてよ? 



冬以、鬼。山田も鬼、みんな鬼。



「山田、お願い。『ほのか』じゃないって言って。人違いだって言って。本物の『ほのか』はもっともっとずっと可愛いって言って」

縋る想いで見上げて願う。



「お前って……甘え方すら可愛くねぇのな」

溜息混じりにそんな悪口を言いつつ、けれども「まかせんしゃい」なんて頼もしいことを言って、山田はニカッと笑った。



「先生! ほのかさんはこっちで何とかすっから、もう踊っちゃってくださーい」

山田は舞台に向かって右手を挙げて叫ぶ。



アホか、コイツ。

私の話、聞いとんのか? コイツ。



「ちょっと、山田ぁ!」

思わず山田の胸倉を両手で掴み上げた。


「悪ぃ。けどお前一人が意地張ってるせいで、話がちっとも終わんねぇだろ?」

山田はヘラリと笑って、尤もらしいことを言う。


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