虹色マテリアル
「いやー、悪いな」
「本当ですよ、全く。これほとんど雑用じゃないですか」

笑いながら担任に手渡されたのは、数学に使うのだろう意味のわかんない数式の並べられたプリントの山だった。

「浅川あんまり数学の成績伸びてないし調度いいじゃないか」
「余計なお世話です」


笑いながら話す担任にふんっと、背を向け由良は教室に向かう。



「ついてないなぁ、全く」

呟きながら歩いていると、辺りをきょろきょろと見渡しながら歩く生徒の姿。



「え、えっと……白木くん?」

明らかに迷子なのだろう、一瞬声をかけるべきか戸惑ったが、放って置くのも悪いだろうと、由良は彼を呼び止めた。


「っ──あ、えっと、」

こちらを向いて困った顔を見せる彼に「あぁ、そうか」と、由良。

「由良だよ。浅川由良。同じクラスの」
「日直の?」
「そうそう」

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