大嫌いだから、ね? ③

「・・・」


 
 なにか、言葉を発しなくちゃって思ったけど、頭が真っ白でなにも出てこない。

 光くんは、ただお母さんのそばでにこにこと、私の方をみていた。



 ・・・あんまり、見られるのは恥ずかしい。



 服・・・。光くんが来る前には、パジャマじゃ恥ずかしいから、せめて、部屋着に着替えようと思ったのに・・・寝ちゃうなんて。

 私はずるずるっと肩ぐらいまで、ブランケットを引っ張り上げた。



 くまさんもようのパジャマなんて・・・本気で恥ずかしいよ。

 おまけに、髪の毛。中途半端に乾かして寝ちゃったせいで、ふわふわに寝癖がついてるきがする・・・。たばねておけばよかった。恥ずかしいよ。

 頭までブランケットかぶって、てるてる坊主みたいになりたい衝動にかられちゃうよ。




「? なに黙ってるの、陽菜?」



 訝しげにいいながら、お母さんが部屋の中にはいってきた。



「具合が悪いの? 買い物から帰ったら、あなた、寝てるからびっくりしたのよ?

 あれからずいぶん眠ったけど、具合は良くなってないの?

 悪いなら、お医者様に」

「ううん! ぜんぜん、大丈夫だから」



 私はあわててお母さんの声をさえぎって、いった。

 だって、部屋の入口にたったままの、光くんからすっと笑顔が消えて、心配そうな顔になったのがわかったから。

 もう、大丈夫だし、これ以上心配させたくない。

 




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