Sieru~愛犬と愛しの先輩~
2 ワンコと先輩
「ねぇ先輩、どこの家ですか?」
「あそこ」
先輩が指したのはすぐそこだった
ピーンポーン。インターホンが鳴る
『…はい。どちら様でしょうか?』
「ご無沙汰してます、鎌倉です」
『あっ!颯君!?』
「はい、そうですけど―……」
『ちょっと待っててね』
会話からして知り合いなのかな?
あたしの考えを察したのか
「親同士が仲いいんだ」
と言ってくれた
しばらくして、おばさんが玄関から出てきた
先輩が犬を手渡す
「脱走してましたよ?」
「ごめんなさいねぇ~、私も心配したわ」
「危ないですもんね」
「そうよ、全くもぅ…。ありがとね。お母さんにも伝えとくわ」
「では、どうも失礼しました」