チッサイ、オッサン
佐々木さん。
それからちっとも恐怖感は消えないし、眠っている場合でもない気がして結局徹夜した。


一晩中求人情報誌一冊をすみからすみまで何度も読み続けた俺はもうヘロヘロだ。


全然転職するつもりなんかないけど、とっさにバッと手に取ったのがずいぶん前になんとなく買ったその情報誌だっただけで。


とにかくいつ襲ってくるかわからない敵に背後を見せるわけにはいかないから、あの騒ぎのあとすぐに壁ぎわのベットに座り込んだ。


すると壁にぴったりと寄りかかったまんま二度と動けなくなり、ひどい眠気と戦うためにいろんな会社の給料や待遇を死に物狂いで調べ尽くしていたわけだ。


とりあえず朝を迎えて安心したけど、正直もう仕事に行く気力はないに等しい。


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