好きになっても、いいですか?
出逢った頃よりは、距離は確かに縮んだ。
けど、それはほんの少しだと麻子は思っている。
その縮んだ距離、というのは社長と秘書――上司と部下、そのような微々たる距離としてだ、と。
その人物が、再び父の元に訪れた。
今はもう、何か悪巧みしているというような不安はない。が、それにしても、一体なんの用件があってわざわざ休日に出向いてくるのかがさっぱりだ。
「な……なにか言ってた?」
麻子の頭にはもうひとつ。
純一のマンションに行った際の、あの一瞬の過ち――。
「手術、頑張って下さいって」
「――え?それだけ?嘘でしょ!」
そんなことだけでここまで来るはずがない。
麻子にだって、それくらいは容易くわかる。