囚われの姫




そして…彼女に追い撃ちをかけたのは離宮についてからの出来事。




ゼナは離宮にしては大きく上は高い塔から下は長い地下牢と、広い空間を持つ。




セロクの命により処刑までは離宮内の牢に監禁されることになったティアラは、ひたすら長い地下への階段を兵士の持つ頼りない蝋燭の明かりと共に、歩かされていたのだった。





薄気味悪くごつごつとした、歩きやすいとは言えない粗い石造りの階段を降りながら、ティアラは今までの住まいだった塔を懐かしく感じていた。




天空なら、窓から月の光が入った。



星を見ることも不可能ではなかった。





だが、これから処刑の日まで、外の風景を見ることは敵わないのだ。






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