囚われの姫
「しかし…ティアラ姫はリューンをご存知ないのですね。」



「っ…ごめんなさい……。」



驚いたようなメルートの声にティアラは慌てて謝る。


確かに、閉じ込められていたとはいえ、隣国の王子のことを知らなかったことは、とても失礼なことだとティアラも思ったからだ。



…だが、メルートが言った言葉は違う意味だった。




「違うのです、ティアラ姫。

我が王子は端正な顔立ちから、国内の令嬢や諸国の姫君方には有名なのです。


それが…隣国のティアラ姫がご存知なかったということは…リューンもまだまだだな…と。」



おもしろそうに話すメルートをリューンはぎろりと睨む。



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