囚われの姫
「祖国が無くなったことを伝えるのは遅くないほうがいいだろう?」
「では…兄は……!?」
ティアラはこの城にいたはずのセロクの所在が気掛かりだった。
酷い仕打ちを長年与えてきた張本人だとはいえ…ティアラにとってセロクは小さな頃から一緒に育った兄に変わりなかったのだ。
「ああ…。
……気になるのか?」
試すようなリューンの目線にティアラも負けじと淡い紫の瞳で彼を見る。
「…あいつは…俺はすぐに殺してもいいと思ったのだがな。
メルートに止められて、今はお前が入れられていた独房に入っている。
ルシカの兵士と、セロクと、あの変な呪い師、あとセロクの側近、さすがにあの監獄が埋まってしまった。」