囚われの姫
「っと……。

はい、終わりました!」



先程の怒りに低くなった声とは打って変わって朗らかなノチカに、ティアラは心配そうに問い掛ける。



「あの…ノチカ?

私…変じゃないかしら…。」



その髪色と瞳に似合う服はない、とセロクに罵られた記憶は、なかなかティアラの中から消えてはくれない。




「ティアラ様……。」



ノチカは口をギュッと引き結び、何かに堪えるように俯くティアラの手を自分のそれでゆっくり包み込んだ。



「セロク様は…ご病気なのです。他人をけなすことで、自らに自信を与える。

その矛先が…聡明で美しかったティアラ様に向かってしまったのです。


ターニャは…セロク様を治療しに来たお医者様でございました。」



えっと驚き顔を上げるティアラに、ノチカは優しく微笑みかける。




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