家政婦のメイド派遣します！
お菓子の新作発表会という事もあって女性を伴っての男女２人の出席者が多い中、１人キョロキョロと辺りを見ながら黙々とケーキをつまむ桃子は如何しても浮いてしまう。

それでなくても今日の彼女は自慢の黒髪を優雅に結い上げて背中が大きく開いたAラインの薄い緑色のショートドレスを着ている為、先程からちらほらと男性に声をかけられているのだ。

その度に同伴者を待っているからと断っているがそろそろ限界がある。

桃子は、さっさと父に挨拶をして帰りたかった。

「ああ、桃子。」

アナウンサーによるスイーツの紹介が終わりに近づいたころ、やっと人込みをかき分けて彼女が探していた父の正志が現れた。

「すまないね、わざわざ呼び出して。」

朝はいつもの作業着を着て出かけた正志も、今は黒い上質のスーツを着ていた。

隣には何やら少々にやけ顔の男が立っている。
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