家政婦のメイド派遣します!
「おや、今日は祐樹君と直樹君は一緒じゃないのかい?」

少々困った顔をしながら正志が頭をかく。

どうやらそれが用事だったらしい。

「うーん。来るはずなんだけど、私はドレスに着替えなきゃならならなかったから先にきたんだよね……。」

桃子はいつもこう言った席には必ず周りを威嚇するように付き添って来る2人が遅れてきている事を伝えた。

それを聞いて正志の隣にいた男が口を開く。

「もうこの時間になっても現れないなんて、本当にいるんですか?そんな2人?」

ニヤニヤしながら話す男は、身なりこそ素晴らしいが到底性格がよさそうには見えない。

挨拶もなしに話し始めたその男に桃子は正直、好感が持てない。

「ああ、こちら今回新店舗を出店させていただくホテルの―オーナーのご子息で佐々木健太郎さんだ。」

「Hotel Sasaki コーポレーションの専務をやっている佐々木健太郎です。やはり実物はお美しい。」

正志が紹介すると男はやっと挨拶をしてきた。

「よろしくお願いします。」

握手のつもりか桃子の手を握ってくるその男に、父の取引先のご子息ならば…と、仕方なく彼女は挨拶を返した。
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