家政婦のメイド派遣します！

「もしかして、お兄ちゃんは私を説得しようとして帰って来たの？」

蒼はなにを今更言っているのかとため息をついて先程入れた緑茶をすすった。

帰国のたびにやはり緑茶は日本で飲むに限ると実感する。

桃子の事をずっと大事にしてきた蒼にしてみればフランスで一緒に住みたいと思うのは至極当たり前のことだった。

なぜ、休みのたびにわざわざ飛行機を取って日本へ帰ってきているかといえば勿論大事な桃子に会うためなのだ。

「でも、桃子は違うんだろ？」

彼女の望まないままにフランスへ連れ帰るのは蒼の意志ではなかった。

それよりも父の正志から彼女の元気がないと言われた事の方が気にかかっていたのだ。

「何がそんなに桃子を悲しませているんだ？」

蒼は桃子をじっと見つめた。

「祐樹さんと直樹が…私が選べなければお見合いするって…。」

桃子の声が震えた。

「私、それは嫌なの。２人の隣に私じゃない誰かがいるなんて絶対いや…。」

そう言うと桃子の頬に一筋の涙が流れた。

「私、贅沢かな……ずっと３人でいる方法を探す事しか考えられないの。」

そう言って無理やり笑う彼女の頭を何度も蒼は撫でてやる。

「いいんだよ、桃子はそれで。」