家政婦のメイド派遣します！
「直樹、桃子に電話がつながりません。」

「こっちも、ずっとコールしているだけだ。」

２人は桃子との電話が切れてから何度も同じことを繰り返していた。

運転手を呼ぶ手間を惜しんで祐樹が運転をしていたのが裏目に出たのだ。

車を駐車して電話に気がついたころには既に手遅れだった。

「アイツ、ぶっ殺す。」

直樹は猛然と大股で歩きながらぼそっと一言呟く。


隣で祐樹が無言で頷いた。

マンションのエントランスに入ると先日いたコンシェルジュが直樹にお辞儀をしてきた。

「アイスミックスと申しますが、うちの従業員がこちらに来ていますので呼び出してもらえますか？」

直樹が丁寧に頼むと男は無言で首を振った。

「今日はどなたにも来客はございません。」

佐々木にそう言うように指示をされているらしい。

詰め寄る直樹たちの隣をここの住人であろう人たちが何人か通り過ぎていった。

「こちらの住人様の迷惑となります。申し訳ありませんがお引き取りください。」

コンシェルジュは携帯電話を取り出すと直樹たちに改めてマンションを出るように通告した。
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