ブルーブラック2
「お疲れ」
一人呟き終えた後に正面に人影が現れて声を掛けられた。
その声にドキリとして顔を上げると―――
「さ、智さん··!」
「あれ。珍しいね、ここでそう言う風に呼ぶの」
涼しい顔をして百合香にそう言うと百合香はあわあわと落ち着きがなくなってしまう。
あまりに朝から“智さんに言わなきゃ”“智さんに謝らなきゃ”と考えていたためか、咄嗟に家での呼び方になってしまったのだ。
「··や、柳瀬さん。どうかしたんですか?」
「いや、なにも」
「?」
「―――ああ。君の顔を見に」
静かに微笑みながらそんなことを言われたら百合香はもうパンク寸前だ。
今朝まで一緒にいたのに何をいうのと思いながらも、本心はとてもうれしい。