ブルーブラック2


「“桜”??!」


この時江川が驚いたのは綾の伝えたいこととはかけ離れた理由だった。

あの美咲が高級ペンを持っていたことの意外性。
興味がなさそうにしていてペンには興味があったのかと勝手な勘違いをしていた。


「“桜”って···でも今はうちでも定番品で扱ってるからすぐ買えるし··」
「本当にそう思います?」


綾はレジを覗きこむ江川をバックヤードに引っ込めて声を一層低くして言った。



「私には自分でわざわざ買ったとは思えません」



綾がそう言い切ると江川がやっとひとつのことに気が付く。





「まさか···」

「百合香の愛用しているペンも“桜”ですよ?」


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