ブルーブラック2
「柳瀬店長!」


バックヤードに足を丁度踏み入れた時に後ろから声を掛けられた。
未だ店内では江川の着ぐるみで盛り上がっている筈の中で、誰が追ってきたのだろうと振り向く。

すると、視界の下の方に小柄な人がそこに立っていた。


「これって、在庫がなくなったらどうすればいいですかぁ?」


手にしているフォトフレームを少し差し出す様に智に指示を仰いでいるのは美咲だった。
彼女は智の隣に立つと、身長差が目立つ程小柄で、丁度智のみぞおち位の高さに頭がくる。

その位置から、得意の上目遣いをされたのなら、ドキリとしてしまうのが男の本能だろう。

しかし、智に至っては例外だった。


「ああ、入荷するまで裏にしまっておいて」
「はーい」
「あと、そういうのは江川に聞くようにして」


淡々と答えると智はふいっと美咲を再び見ることなくエレベーターに姿を消した。


「···“既婚者”か」
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