ブルーブラック2
「ああ!おはよう生田さん」
「―――お、おはようございます・・」
「寝坊?」
「い、いえ・・・ちょっと事務所でお話を」
この短期間でしか知り得ないが、坂谷の美咲の印象はいつでも強気で自信満々なイメージ。
しかし今の美咲はまるで別人のように何かに怯えてるのかと思う位にか細い返事しか返ってこなくて首を傾げる。
「ふーん。あ、もうすぐ開店しちゃうからとりあえずこっち入ってて」
坂谷にそう言われて美咲はホッとした。
入ってと言われた場所はレジで、百合香は万年筆カウンターにいるからだ。
そうしてレジに入ると正面を見て手を前に組んでスタンバイする。
それとほぼ同時に開店を知らせる音楽が流れてきた。
美咲は動かずに立っていたが、怖いもの見たさというものなのか。
どうしてもすぐ近くにいる百合香の存在が気になって仕方がなかった。
その美咲の思いは、ちらりと視線を百合香の方に送ることに表れていた。