ブルーブラック2

「うん。大丈夫よ」
「そうですか。良かったです」


百合香とその女性の間に穏やかな空気が流れる。

そんな光景を食い入るようにして美咲は見ていた。


「あの、すみません」
「えっ、あ、はい!」
「あっちのペン、見せて貰えますか?」


よそ見をしていたレジの美咲に一人の男性が声を掛けてきた。
美咲は再び未知の世界へと足を踏み入れなければならない恐怖を抱えながらも男性の後を付いて行く。


「これなんですけど」
「あ・・・・はい」


きょろきょろとあたりを見回して跳ね上がる心臓を読み取られないように懸命に平静を装って美咲はショーケースの引き出しをスライドさせた。


「こ、こちら・・・ですね」
「うん。あ、これって字幅何があったかな?」
「え?!」


その男性は美咲が研修生でしかも今日が初日だと言うことは分かる筈もなく、ただ当たり前のように質問をしてくる。


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