ブルーブラック2
(そんなことわかるわけないじゃない!)
美咲が心の中でそう思っていても、目の前のお客は関係なしに美咲の返答を待っている。
「しょ、少々お待ち下さい」
つい先程百合香に、『わからなければそう言っていい』と言われたものの、いざ人を目の前にするとそんなことやっぱり言える筈もなくてとりあえずその場を取り繕うのに時間を稼ぐ。
「カタログに書いてないの?」
「カタログ?あ、そ、そうですね!」
男性に言われて美咲はそのショーケースの上に出したペンのカタログを必死に探す。
しかし焦っているときは視界は狭まっているもので、近くにある筈のものがなかなか見つけ出せない。
いよいよ嫌な汗が流れてきたときに、すっと風と共に横に来たのはまたもや百合香だった。
「お待たせいたしました。こちらの万年筆はBB・B・M・F・EFとなっております」