ブルーブラック2
百合香の言い分はもっともだ。
美咲はそう素直に思うから何も答えられなかった。
「だけど、そういう黒い感情――わからなくないし。私も生田さんも何にも変わらないとさえ思った。ただ、それを抑えられるかどうかの違いだけで」
「は・・・?」
「私にだって、人を羨んで、勝手に蔑んで、汚れた感情を持ったりすることがあるっていうこと。なんか生田さんのさっきの言い方だと私が完璧な人間みたいな言い方だったから」
百合香も心の内を暴露したのか、幾分か今までよりも一線引いたような態度や話し方ではないように美咲は感じた。
「・・・そういうヒドイ顔の生田さん、初めて見たし。“子供”にちょっといたずらされたと思うことにする」
更にはちょっと嫌味っぽく付け足されてなおさら今までの百合香じゃないと拍子抜けする。
「も、もう、大人になりますから!」
「当然でしょ?」
「・・・・」
「じゃ、お先に」
百合香がそう言って踵を返して一歩歩いた後でくるりと再び美咲を振り向きティッシュを差し出した。
美咲はそれを恐る恐る受け取ると今度こそ百合香は先に更衣室に消えて行った。