君の声がききたい
沙和は俺に手を振りながら、「気をつけてね」と口を動かした。

俺は「はいよ」と言って手を振り、沙和に背を向け歩き出す。





「………あ」


ふとポケットに手を入れた時…ポケットの中でなにかが手に当たり、俺はその手に当たったものを出す。



これ…


ポケットから出した物を握りしめ、再び沙和のところへ戻った。

まだマンションに入らないで、俺を見送っていた沙和は、戻ってくる俺を見て俺に近づいた。



「これ…返すの忘れてた(汗)」


ポケットに入っていたのは、返すのを忘れた沙和のペン。

沙和はペンを見たあと、携帯にメールを打った。



―――――――――――
【TO】

あげるよ(^^)
私と話す時専用に使って(笑)

ーENDー

―――――――――――


「・・・サンキュ」


笑いながら、ペンをポケットにしまう俺。




「ペンもらった代わりに…これやる」

「?」

「ん…」

「・・・」


俺は沙和の手のひらに、さっき沙和がくれた噛み終わったガムが入った包み紙を乗っけた。




「〜〜〜〜!」


沙和は首を横に振りながら、怒ったような顔をする。



「ハハ…じゃあな」


俺は笑いながら沙和から離れ、家に向かって歩き出した。

角を曲がる時、後ろを振り返ったらまだ沙和がマンションの前で俺を見ていた。

俺は沙和に手を振って、ゆっくりと角を曲がった…
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