HERO
「お前、縛られんの好きだったよな」



好きなんかじゃない。


ただ、快楽に負けたときに、いつも言い訳にしてた。



逃げられないのは、縛られてるせいだって。



そいつは、似合わないスーツのネクタイを解いて私の腕を縛った。


始まる、地獄の時間が。



何が一番地獄かって、理性を失った自分を見ること。


抵抗してたくせに、最終的には感じて喘いでる自分を見るのが、一番地獄の時間。



「...痛っ」



私の首元に顔を埋めるそいつは、私を痛めつけるのが好きだ。


まるで狼のように、歯を立てて私の首を噛んだ。
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