HERO
「離して!この人の顔なんか、二度と見たくない」


「美亜さん!」


「わんこには関係ないでしょ!余計なお世話なの。この人に頼まれて一緒に居られても、迷惑なの!」



そんなこと、思ってないのに。


このイライラした感情をどこにぶつけたらいいのかわからなくて。



それでも掴んだ腕を離さないわんこ。



母は、急に立ち上がって、私の頬を引っ叩いた。


あまりに予想外の出来事で、思わず母の顔を見た。



「私のことは何を言ってもいいわ。でもこの人は、あんたのことを本当に心配してくれたのよ。
一緒にいろなんて頼んでないのに、それでもあんたと一緒にいてくれたのよ」



だから、そんな人のことを悪く言うなと。


母がそう言ったことが、何だかおかしかった。



この人にそんなこと言う権利ないのに、でも言ってることはその通りだったから。
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