ご奉仕ワーリィ


まだそれを言うの、と反論する前に彼の親指が唇に触れてきた。


「最終手段としては、俺が何もかもを投げ捨て、陛下の持つものさえも奪い壊して、二人でどこかにひっそりと暮らすことですが。

そんなことをしたら、責任感が強い陛下がきっと幸せにはなれないでしょうから」


「そんな……、あなたがいてくれるなら……」


「ええ、それはそれで幸せであり、俺とて全てを投げ捨ててまで得たいと思える幸せ(あなた)だ。二人して笑って生活できるでしょうが、そこに後悔はないと言いきれますか?」


「……」


「城を、民を、国を捨てて。あなたがいなくなることで困る方はたくさん出てくることでしょう。あなたの心配を心労に、更に寿命が縮まる人だっていそうだ。

陛下は優しいですからね。そんな方たちを『大丈夫かな』と俺との生活の中で、彼らの心配をし、もっと上手いやり方があったのではないかと考えそうだ」


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