ご奉仕ワーリィ
「汚せるものなら汚してみたいものですよ。ええ、はい」
ぐちゃぐちゃになるまで、と黒色が溢れる声だった。
ぞっとするほどの音色でも、フィスト王は愉快げに口端を歪めるだけ。
「なれば私を打ち負かしてみろ!でなければ、貴様が欲しがるものは全て私が奪ってやるのだからなあぁっ!」
ダンッと、力強い打ちあいが始まった。
レイピア本来の役割ではない、こん棒同士の殴り合いのようであった。
いつ細身の剣が折れてもおかしくない。どちらかが力の加減と受け止め方を誤れば、そこで勝負がつくだろう。
激しい攻防戦に誰もが息を呑む中、何人かの兵士は忌々しげにその様子を――ラハティーを見つめていた。