ご奉仕ワーリィ


耳障りな声はよく通る。さすがに王女までには聞こえなかったにせよ、ラハティーには聞こえたようだ。


貶され、手元が鈍ったか、兵士の思惑通りにフィスト王がラハティーの剣を弾き。


「へ、――」


侮辱を口にした兵士の鼻先に、刃先が通った。


ガスンっ、と地に突き刺さるレイピア。兵士の鼻先からは血が流れて、一歩間違えれば、脳天に突き刺さっていたことを知り、足から一気に震え上がった。


「ああ、さすがフィスト王の一撃です。剣がこちらまで飛ぶだなんて。お怪我はないですか」


朗らかな口ぶりが白々しく思えたのは、ラハティーの目が笑っていなかったから。


兵士を見下しながらも、口は愛想よく。


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