ご奉仕ワーリィ


彼が近くにいなきゃ、物悲しくてしょうがない。


けど、彼は私をどう思っているのかも見据えられなかった。


私が愛してと言ったら、きっと彼は『愛してます』と言ってくれる。


王女の形を保つ私だけど、彼には王女ではない私として相手してほしくもあった。


兵士だから、忠義があるから、敬うから、などといった私の肩書きを見ての『愛している』だなんてちっとも嬉しくない。


それはつまり、彼が愛するのは『王女』となるだろうから。


本来の私を見てほしいだなんて、恋人たちの話にありそうなものだけど……本来の私を見られた結果も怖いものだ。


もしも、彼の愛情表現の理由に『王女だから』とあれば、それを聞いた瞬間に、私はきっと立ち直れない。


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