ご奉仕ワーリィ
なくなったところで想いが実る保証もないからこそ、今のあやふやな関係が続くわけだが。
「泣かないでくださいよ。目が腫れてしまいますから」
フィスト王と会うのに、と言われたような気がして、更に目頭が熱くなった。
他人事のような言い回し、さも、私とフィスト王の婚姻に何ら興味も浮かばないと言いたげだ。
悲しみと一緒に怒りも出てきた。私ばっかりこんな葛藤を抱えるだなんて、と理不尽極まりない怒りを彼に覚えてしまう。
半ば投げやりに、「もういい」とそっぽを向いたままでいれば、息を吹き出す音。
「おやすみなさい、陛下。では、また」
私の髪を一束取って、口をつけた彼の言葉で怒りが飛ぶ。
何のことはない、これぐらいの愛情表現で私は彼を許せてしまう。虜なんだ、もはや。