ご奉仕ワーリィ
見上げたバルコニーにいる従者が指を舐めたあとに、ロープを揺らしてみせた。
「とりあえず、我が親愛なる主よ。外から入れないならば、一度こちらに戻ってきた方がよろしいかとー?」
「ああ、その通りだな」
ロープを掴むフィスト王。きちんとロープが上に繋がっているのを確認して。
「あ、王よ。王の足元に極彩色の虫がいますよー」
「なに?」
とっさに足元を見る王だが、何もいない。
「何もいないが?」
「ああ、もしかしたら、トスフィカバホア虫なのかもしれません。バカ以外には見えない虫なのですよー。いやはやー、私めは類いまれに見るバカなのかも知れませんねー」
虫の名前を逆さから読まないフィスト王が、そうなのかと言ったあたりで、頭にとすんと何かが当たった。