嗜虐的症候群

動揺と興奮と羞恥心が入り交じった複雑な表情。


口を一文字に結び少しだけ眉間を寄せたその表情に、胸の奥で言いようのない達成感と幸福感がじわじわと沁み渡る。


竜司君の笑った顔より、困った顔の方が好きだなんて、本当にイイ性格をしてると思う。


もっと竜司君を困らせたい。もっと竜司君の照れる姿を眺めていたい。自分にだけ見せてくれる表情を、もっともっと見つめていたい。


他の女に目をくれる暇がないくらい、困って照れて悩んで焦って、竜司君の頭の中を自分一色に染め上げてやるのだ。


表情フェチと独占欲が融合した、最っ高に気持ちが悪い負の感情。


竜司君に知られてはいけない秘密。


でも竜司君は優しいから、きっと今みたいな困り顔でヘニャッと笑うに違いない。


「……誘ってんの?」


「ばーか」


「ッ!?」


傷口に牙を立てる。


痛みに歪む表情も、なぜか色気があって好きかもしれない。
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