いきなり王子様
そして。
その後週末ごとにお互いの部屋を行き来しながら、結婚へ向けて準備を始めた私たちは、まずお互いの家族への挨拶を済ませた。
この時は、私の両親よりも、二人の兄たちの寂しがり方が尋常ではなくて、竜也はかなりの時間をかけて兄たちに気持ちを伝えてくれた。
『奈々さん以外、俺の人生を幸せにしてくれる女性はいないんです』
……ここでも竜也は竜也だった。
兄たち二人はこの言葉に陥落し、ようやく結婚を認めてくれた。
挨拶を終えて私の部屋に帰ってきた時、竜也は緊張から解放されたせいかすぐにソファに体を投げ出して眠りに落ちた。
夕べも緊張して眠れなかったって言ってたもんね。
スーツのジャケットだけを脱いだ竜也のネクタイをそっと緩めて、毛布をかけた。
規則正しい寝息からは、かなり深い眠りの中にいるとわかる。
よっぽど疲れたんだな。
どの角度から見ても整っている竜也の顔をしばらく眺めたあと、その寝顔がとても愛しくてたまらなくなった私は。
「今日は、ありがとう。愛してるよ」
掠めるだけの、キスをした。
ぴくりとも動かない竜也は、どんな夢を見ているんだろう。
あまりにも深い眠りだから、夢なんて見ていないかもしれない。
「私だって、竜也以外、私を幸せにしてくれる人はいないんだよ」
ふふっと笑うと、ソファの横に膝をついていた私は、竜也の胸元に顔を寄せ、そのまま預けた。
とくんとくん、と響く竜也の鼓動を聞きながら、その安心感に気持ちは一気に緩み、私も眠気に誘われる。