いきなり王子様

「ふーん。そこまで俺を見てたってことは、お姫さんも俺に興味を持ってくれたって事だな」

「は?興味?」

予想外の言葉に、私は大きな声をあげた。

「そ。俺が気になってたからこそ、俺の仕事ぶりに気づいたんじゃないの。
確かに今の仕事が気に入ってるし楽しんでる」

「気になるっていうか、まあ、同期だし、それも出世頭だし」

少し照れながら、ぽつりとつぶやきながら視線を向けると、相変わらず飄々としている甲野くんの横顔。

さっき工場で会った女の子もそうだったけど、きっと工場でも女の子からの人気は高いんだろうな。

大学卒を採用基準としている本社と違って、工場には高校卒の女の子も採用される。

とすれば、工場にいる女の子の平均年齢はかなり若くて、男性陣は明るい恋愛環境を築く事ができる。

それは全社での周知の事実だけど。

そんな若い女の子たちからすれば、甲野くんのような人材は、見た目にも将来性にも五つ星が光ってるだろうし、聞かずともその人気の高さは容易に予想できる。

さっきの女の子のように、強い押しを見せて甲野くんに気持ちをアピールするなんて。

若いからできるんだろう……私には真似できないけど。

羨ましくもある。

それに、そんな気持ちに苦笑すら浮かぶ。

「甲野くんが気になっていたかっていえば、そうかもしれない。
それに、楽しそうに仕事してる様子も、女の子に人気があるのも、考えてみれば不思議じゃないなあって思ったかな」

「なんだそれ」

「んー。工場の女の子にしてみれば、甲野くんは王子様なんだろうね」

「……たまに言われる」

「あ、やっぱり?」

悔しげな甲野くんの声に、思わず軽く笑った。
< 28 / 228 >

この作品をシェア

pagetop