いきなり王子様
「ふーん。そこまで俺を見てたってことは、お姫さんも俺に興味を持ってくれたって事だな」
「は?興味?」
予想外の言葉に、私は大きな声をあげた。
「そ。俺が気になってたからこそ、俺の仕事ぶりに気づいたんじゃないの。
確かに今の仕事が気に入ってるし楽しんでる」
「気になるっていうか、まあ、同期だし、それも出世頭だし」
少し照れながら、ぽつりとつぶやきながら視線を向けると、相変わらず飄々としている甲野くんの横顔。
さっき工場で会った女の子もそうだったけど、きっと工場でも女の子からの人気は高いんだろうな。
大学卒を採用基準としている本社と違って、工場には高校卒の女の子も採用される。
とすれば、工場にいる女の子の平均年齢はかなり若くて、男性陣は明るい恋愛環境を築く事ができる。
それは全社での周知の事実だけど。
そんな若い女の子たちからすれば、甲野くんのような人材は、見た目にも将来性にも五つ星が光ってるだろうし、聞かずともその人気の高さは容易に予想できる。
さっきの女の子のように、強い押しを見せて甲野くんに気持ちをアピールするなんて。
若いからできるんだろう……私には真似できないけど。
羨ましくもある。
それに、そんな気持ちに苦笑すら浮かぶ。
「甲野くんが気になっていたかっていえば、そうかもしれない。
それに、楽しそうに仕事してる様子も、女の子に人気があるのも、考えてみれば不思議じゃないなあって思ったかな」
「なんだそれ」
「んー。工場の女の子にしてみれば、甲野くんは王子様なんだろうね」
「……たまに言われる」
「あ、やっぱり?」
悔しげな甲野くんの声に、思わず軽く笑った。